連鎖関係代名詞【東大英作文スピンオフ】

皆さんこんにちは、塾長です。

 

本日は、先日の東大英作文で触れた「連鎖関係代名詞」について、短めではありますが、きちんと解説していきたいと思います。

 

(東大英作文の記事はコチラ↓)

 

tenjinkai.hatenablog.com

 

さて東大英作文の時にも引用しましたが、英文法問題集のNext Stageに載っている「連鎖関係代名詞」の例文は、以下の3つです。

 

1. The position was filled by a man who(whomは×)she thought was thoroughly competent.

その職に就いたのは、彼女が申し分なく有能だと評価していた男だった。

 

2. She is a promising swimmer who(whomは×)we think will win a gold medal at the next Olympic Games.

彼女は、次のオリンピックで金メダルを取ると目されている、有望な水泳選手だ。

 

3. Are you doing what you think is right?

君は自分が正しいと思うことをやっているのか?

 

 

連鎖関係代名詞は、「”主語+think/believeなどの動詞”が、関係代名詞と動詞の間に挟(はさ)まった形になる」

 

 と教わっている方が多いと思います。

上の3つの例文だと、それぞれ以下の下線の部分が「挟まった」形になっています。

 

1. The position was filled by a man who she thought was thoroughly competent.

 

2. She is a promising swimmer who we think will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

3. Are you doing what you think is right?

 

下線部を隠して読んでもらえれば、何の変哲もないフツーの関係代名詞の文章ですね。

 

この解説は間違いでもなんでもなく、これだけの理解で終わっても何の問題もありません。

 

しかし!この「主語+think/believeなどの動詞が、関係代名詞の先行詞と動詞の間に挟(はさ)まった形になる」というのはあくまでも結果論であるということ、

 

そして、たとえ連鎖関係代名詞であっても、どこまでも「関係詞は2文を1文につなげるものである」ということを理解してほしいと思います。

 

 

今回は、連鎖関係代名詞の例文として一番基本的な形をしている2番の例文で解説します。

 

 She is a promising swimmer who(whomは×)we think will win a gold medal at the next Olympic Games.

彼女は、次のオリンピックで金メダルを取ると目されている、有望な水泳選手だ。

 

まず、「主語+think/believeなどの動詞が、関係代名詞の先行詞と動詞の間に挟(はさ)まった形になる」の観点から見ていきます。

 

 She is a promising swimmer who (we think) will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

we think が「挟まってる」と考えるわけなので、we thinkを抜いてみると、

 

 She is a promising swimmer who will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

 となります。

このwhoは当然主格で、すぐ後ろのwill winの主語です。目的格のwhomではダメです。

 

と、ここまでの理解で終わっても決して悪くはないのですが、より一歩理解を深めて、

「関係詞はあくまで2文を1文につなげるものである」という観点からも理解していただきたいと思います。

 

すなわち、この例文を2文に分けると

★She is a promising swimmer.

★We think (that) she will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

となり、2文目のsheを関係代名詞に変えるので、whoになるという、ただそれだけの話なのです。

 

シンプルでしょう?

 

ただ一つだけ注意が必要な点として、2文を1文にするときに接続詞thatは必ず省略しなければいけません。

 

この文でいうと、

 

 She is a promising swimmer who we think that will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

としてはいけない、ということです。

 

理由としては、このthatは関係代名詞みたいに見えてしまい、読みづらいからだと思います。

 

この「接続詞thatは必ず省略する」という点にだけ気をつけて、あとは普通の関係代名詞の時と全く同じように、この2文を関係代名詞whoというノリ(接着剤)を使って1文にしていきます。

 

★She is a promising swimmer.

★We think (that) she will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

2文目のsheは1文目のa promising swimmer を指しています。a promising swimmer が、いわゆる「先行詞」というやつです。

関係代名詞を使った2文の1文へのまとめ方は、「2文目の代名詞を関係代名詞に変えて、1文目の先行詞の直後にもっていく」が鉄則ですから、

2文目のshewhoに変えて、1文目の先行詞a promising swimmerの直後に移動します。

 

★She is a promising swimmer who

We think (that)  she will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

2文目のsheは(whoに変わって1文目に移動したので)これで消えました。

先に説明した通り、連鎖関係代名詞の文を作るときは接続詞thatを必ず省略しますので、thatも消えています。

あとは、2文目の残りをそのまま1文目のwhoの後ろにそのままくっつけて、先行詞a promising swimmerの後ろから掛ける(修飾する)だけですが、この際に先ほど説明した通り必ず接続詞thatを省略しますので、

 

 She is a promising swimmer who we think will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

となって、元の文が復元できました。

結果として、

 

She is a promising swimmer who will win a gold medal at the next Olympic Games.

 

という普通の関係代名詞の文章のwhoの後にwe think が挟まっているように見えるのです。

 

※She is a promising swimmer who (we think←ここが挿入に見えるwill win a gold medal at the next Olympic Games.

 

連鎖関係代名詞の文の作り方も、「接続詞thatを必ず省略する」こと以外は、

「2文目を関係代名詞に変えて、1文目の先行詞の直後にもっていく」→「2文目の残りを、1文目の関係代名詞の後ろにくっつける」

という、普通の関係代名詞の文章の作り方と、まったく同じであるということを理解していただきたいと思います。

 

ここでは2番の例文での説明になりましたが、他の例文も基本的にパターンは同じです。

 

1番の英文

The position was filled by a man who she thought was thoroughly competent.

その職に就いたのは、彼女が申し分なく有能だと評価していた男だった。

 

を2文に分解すると、

★The position was filled by a man.

★She thought (that) he was thoroughly competent.

となります。

 

2文目のheは1文目のa manを指しますので、ここをwhoに変えて先行詞a manの直後に移動します。2文目の接続詞thatは省略です。

 

★The position was filled by a man who

She thought (that) he was thoroughly competent.

 

後は2文目の残った部分を1文目のwhoの後ろにそのままくっつけて、先行詞a manの後ろから掛けると、

 

The position was filled by a man who she thought was thoroughly competent.

 

元の文が完成です。

 

 

3番の例文は少し厄介なのですが、whatをthe thing whichに置き換えて考えます。

Are you doing what you think is right?

→Are you doing the thing which you think is right?

君は自分が正しいと思うことをやっているのか?

 

これを2文に分解すると、

★Are you doing the thing?

★You think (that) it is right.

 

2文目のitは1文目のthe thingを指します。itを関係代名詞whichに変え、接続詞thatを省略すると

 

★Are you doing the thing which (?)

You think (that) it is right.

 

2文目の残りを1文目のwhichの後ろにそのままくっつけて、先行詞the thingを修飾させると

 

Are you doing the thing which you think is right?

 

となり、the thing whichwhatという一語にまとめられるので、

 

Are you doing what you think is right?

 

と、もとの文が復元できます。

 

 

 

いかがだったでしょうか?

 

「関係詞はあくまで2文を1文につなげるものである」ということが理解できていれば、連鎖関係代名詞も決して特別なものではない、ということが分かってもらえましたでしょうか?

 

英文法を軽視する英語教育論には、断固反対したい思いを込めて、今回は英文法のワントピック講座でした。

 

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!!