【英語で論語】学而第一・その六

こんにちは、塾長です。

 

今回は英語で論語シリーズ、学而第一・その六です。

 

復習ですが「論語」は英語でThe Analects、「孔子」は英語でConfuciusと言います。

 

The Analects (Penguin Classics)

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  • 作者:Confucius,D.C. Lau
  • 発売日: 1979/12/01
  • メディア: ペーパーバック
 

 

 

論語新釈 (講談社学術文庫)

論語新釈 (講談社学術文庫)

  • 作者:宇野 哲人
  • 発売日: 1980/01/08
  • メディア: 文庫
 

 

早速、読んでいきましょう。

 

【英訳】

 The Master said, "A young man should be a good son at home and an obedient young man abroad, sparing of speech but trustworthy in what he says, and should love the multitude at large but cultivate the friendship of his fellow men. If he has any energy to spare from such action, let him devote it to making himself cultivated."

 

どういうことを言っているのか、大体わかりましたでしょうか? 

もう一度読んでみます。

 

 The Master said, "A young man should be a good son at home and an obedient young man abroad, sparing of speech but trustworthy in what he says, and should love the multitude at large but cultivate the friendship of his fellow men. If he has any energy to spare from such action, let him devote it to making himself cultivated."

 

それでは、解説を加えていきますね。

 

The Masterはもちろん、孔子のことです。孔子という固有名詞だからMが大文字になっています。

 

まず

A young man should be a good son at home and an obedient young man abroad, sparing of speech but trustworthy in what he says,

の部分です。

 

obedientは「素直な、従順な」です。obey「従う」の仲間の形容詞ですね。

 

abroadは「海外に、海外で」という意味で使われることが多いですが、ここでは「(家の)外では」という意味で使われています。

 

be sparing of Aはちょっと難しいですが、「Aを倹約する、Aを惜しむ」です。

spare A は「Aを省く」「Aを分けておく、取っておく」という意味ですから、関連付けて覚えることが可能ですね。

 

be trustworthy in A は「Aにおいて信用に足る」という意味ですが、この論語の英訳ではしょっちゅう出てくる単語です。

 

ちなみに、sparing~とtrustworthy~の部分は分詞構文のbeingが省略された形になっているため、形容詞がいきなり出てきているように見えます。

 

※ A young man should be a good son at home and an obedient young man abroad, (being) sparing of speech but trustworthy in what he says,

 

ここの訳は、「若い者は、家の中においては(父母を敬う)善良な息子、家の外においては(目上に対して)素直な若者であり、寡黙でありながら言ったことには責任を持つべきである」くらいになります。

 

つづいて

, and should love the multitude at large but cultivate the friendship of his fellow men.

の部分です。

 

multitudeは「大衆、衆人」です。multiは「たくさん」という意味ですから、「たくさんの人」と理解すればいいですね。

 

at largeは「概して、広く」です。「逃走中」という意味もありますが、これは牢屋という小さな場所ではなく、「広い」場所に野放しになっている、という感覚です。

 

cultivateは「耕す」ですが、この場合は目的語がthe friendship of his fellow men「仲間との友情」ですから、「育(はぐく)む」と訳すほうがいいでしょう。

 

というわけで、ここの訳は

広く多くの人を愛するけれども、(同時に)仲間との友情も育むべきである

 くらいになります。

 

最後、

If he has any energy to spare from such action, let him devote it to making himself cultivated.

 の文です。

 

energy to spareは「余力」ですが、直訳すると「分けておくべきエネルギー」ということです。spareはbe sparing of Aのときにも解説しましたね。

 

devote A to Bは「AをBに捧げる、AをBに投入する・つぎ込む」です。ここのdevote it の it は、前に出てきたenergyを指しています。

 

making himself cultivatedは動名詞句です。make O(目的語) C(補語)の形の第5文型ですね。

「彼自身をcultivateされた状態にさせること」ということですが、ここのcultivateは先ほどの「(友情を)育む」とは少し違って、culture「文化」により近い意味で使われています。「読書をして教養を磨く」という意味ですね。

 

というわけで、最後の部分の訳は

もし彼(若者)に、そうした活動をしても余力があれば、書を読んで自身の教養を深めさせるべきである。

くらいになります。

 

いかがだったでしょうか?

最後に、もう一度英訳と、書き下し文、塾長による和訳、それから塾長が一番好きな論語の訳である宇野哲人(うの・てつと)先生による解釈を載せておきます。

 

【英訳】 

 The Master said, "A young man should be a good son at home and an obedient young man abroad, sparing of speech but trustworthy in what he says, and should love the multitude at large but cultivate the friendship of his fellow men. If he has any energy to spare from such action, let him devote it to making himself cultivated."

 

※【白文】

子曰、弟子入則孝。出則弟。謹而信。汎愛衆而親仁。行而有余力、則以學文。

 

【書き下し文】

子曰く、弟子(ていし)、入りては則ち孝に、出でては則ち弟に、謹んで信に、汎く衆を愛して仁に親づき、行うて余力あれば則ち以て文を学ぶ。

 

【読み仮名】

しいわく、ていし、いりてはすなわちていに、つつしんではしんに、ひろくしゅうをあいしてじんにちかづき、おこなうて余力あればすなわちもってぶんをまなぶ。

 

【塾長による和訳】

先生は言われた。若い者は、家の中においては(父母を敬う)善良な息子、家の外においては(目上に対して)素直な若者であり、寡黙でありながら言ったことには責任を持つべきである。広く多くの人を愛するけれども、(同時に)仲間との友情も育むべきである。もし彼に、そうした活動をしてもまだ余力があれば、書を読んで自身の教養を深めさせるべきである。

 

宇野哲人先生による解釈】

人の子弟(してい)たる者は、家庭の内に入っては良く父母に仕(つか)えて考を尽くし、家庭から外に出ては良く目上に仕えて弟(てい)を尽くし、行うことは慎み深くて法度(ほうど)に外れず、言うことは信を守って、偽りがなく、広く衆人を愛してみだりに人を憎まず、仁者に親しみ近づいて修養上の益を求め、これらのことを行ってもなお余暇があるならば、詩書六芸の文を学ぶべきものである。

 

 ぜひ、英文も書き下し文も暗唱してみてくださいね!

 

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!

 

 

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次郎物語」(これもメッチャ面白いです)で有名な下村湖人(しもむら・こじん)先生の本です。

ものすごくいい本です。ご家族みんなで読んでほしいです。

 

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  • 発売日: 1981/04/08
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※大学生、社会人は大人の教養としてこの本も読んでおきましょう↓。

日本の経済を作った人と言ってもいい財界の巨人・渋沢栄一の本です。全ビジネスマン必読の著です。

 

現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)

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  • 作者:渋沢 栄一
  • 発売日: 2010/02/08
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渋沢栄一が書いた文章そのものに触れたいかた(塾長もそのクチです)はこちら↓

 

論語と算盤 (角川ソフィア文庫)

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  • 作者:渋沢 栄一
  • 発売日: 2008/10/24
  • メディア: 文庫
 

 

ありがとうございました!